有機農産物の日本農林規格 の中に
ただし、農産物に重大な損害が生ずる危険が急迫している場合であって、
耕種的防除、物理的防除、生物的防除又はこれらを適切に組み合わせた方法のみによっては
ほ場における有害動植物を効果的に防除することができない場合にあっては、
別表2の農薬(組換えDNA技術を用いて製造されたものを除く。以下同じ。)に限り
使用することができる。
このように農薬を使用することができる と記してあります。
農薬を使わずに栽培するのが「有機栽培」のはずなのに
なぜ農薬を使ってもいいと書いてあるのでしょうか。
この疑問を解決するためにまず「農薬」とは何なのか調べてみました。
* ここでは一般的な「農薬」ではなく法律で決められた「農薬」という
概念について書いております。
【 農薬とは 】
農林水産省のHP「農薬コーナー」より抜粋 して解説しています
(1) 農薬とは
農薬取締法では、「「農薬」とは、農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」という。)を
害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の
防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤
(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)
及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる植物成長調整剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。」と
規定されています。
また、農作物等の病害虫を防除するための「天敵」は農薬とみなす、とされています。
農薬の使用される対象は、用途によって次のように分類されます。
ア 殺虫剤 農作物を加害する害虫を防除する薬剤
イ 殺菌剤 農作物を加害する病気を防除する薬剤
ウ 殺虫・殺菌剤 農作物の害虫、病気を同時に防除する薬剤
エ 除草剤 雑草を防除する薬剤
オ 殺そ剤 農作物を加害するノネズミなどを防除する薬剤
カ 植物成長調整剤 農作物の生育を促進したり、抑制する薬剤
キ 誘引剤 主として害虫をにおいなどで誘き寄せる薬剤
ク 忌避剤 農作物を加害する哺乳動物や鳥類を忌避させる薬剤
ケ 展着剤 ほかの農薬と混合して用い、その農薬の付着性を高める薬剤
つまり、農薬という概念は 成分ではなく使用用途で決められています。
たとえば虫を駆除するために食酢(台所で使う酢)を使った場合、酢は農薬となるわけです。
*実際には「農薬」と呼ぶためには、安全性を確認し国に認めてもらう「登録」という
作業が必要になります。殺虫のため何でも使ってもいい訳ではありません。
別表2で有機栽培に使ってもいいと定められた農薬は、昔から自然のものを使用して
利用してきた資材がほとんどです。
たとえば 食酢(台所の酢)、除虫菊抽出物(蚊取り線香の成分)、重層、でんぷん水和液など。
有機栽培に農薬を使ってもいい というにはこんな理由がありました。
【参照 】 農林水産省 農薬コーナー
有機農産物の日本農林規格
有機農産物の日本農林規格
別表 2
農薬 | 基準 |
除虫菊乳剤及びピレトリン乳剤 | 除虫菊から抽出したものであって、共力剤としてピペロニルブトキサイドを含まないものに限ること。 |
なたね油乳剤 | |
マシン油エアゾル | |
マシン油乳剤 | |
大豆レシチン・マシン油乳剤 | |
デンプン水和剤 | |
脂肪酸グリセリド乳剤 | |
メタアルデヒド粒剤 | 捕虫器に使用する場合に限ること。 |
硫黄くん煙剤 | |
硫黄粉剤 | |
硫黄・銅水和剤 | |
水和硫黄剤 | |
硫黄・大豆レシチン水和剤 | |
石灰硫黄合剤 | |
シイタケ菌糸体抽出物液剤 | |
炭酸水素ナトリウム水溶剤及び重曹 | |
炭酸水素ナトリウム・銅水和剤 | |
銅水和剤 | |
銅粉剤 | |
硫酸銅 | ボルドー剤調製用に使用する場合に限ること。 |
生石灰 | ボルドー剤調製用に使用する場合に限ること。 |
天敵等生物農薬性フェロモン剤性フェロモン剤 | 農作物を害する昆虫のフェロモン作用を有する物質を有効成分とするものに限ること。 |
クロレラ抽出物液剤 | |
混合生薬抽出物液剤 | |
ワックス水和剤展着剤 | カゼイン又はパラフィンを有効成分とするものに限ること。 |
二酸化炭素くん蒸剤 | 保管施設で使用する場合に限ること |
ケイソウ土粉剤 | 保管施設で使用する場合に限ること |
食酢 |
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【 詳細は農林水産省のホームページ 有機農産物の日本農林規格 をご覧ください。】
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