佐賀でおいしい有機野菜を作って下さる園田さんのほ場をご訪問させていただきました。
台風が過ぎ去ってお天気になるはずだった福岡県あたりでしたが、次の台風が追いかけるように近づいてきて土砂降りになりました。あいにく野菜を見ることはできませんでした。
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農薬も化学肥料も使わずに育った野菜だけができること
有機栽培の技術を身につけるため、奈良まで一緒に研修に行かれた奥さまと、キュートでしっかりしたお嬢さんとご一緒に一枚。
園田さんとの出会いは3年前。
奈良で5年間の有機農業の研修を終え、故郷の佐賀に帰られる際に当店に営業に来て下さったのです。
これから佐賀で有機栽培をします、とおっしゃる園田さんを見て「若いのに農業に修行されるはすごいな、奥さんはどう思われたのだろう」と思いました。
その後、ハウスを建てました、野菜が収穫できました、と順々にお便りをいただき、出荷される野菜の種類もどんどん増えて、現在いい野菜をたくさん出荷していただいています。
「食べ物で体を治す」 そのきっかけはご自身の病気からの体験から
園田さんは兼業農家の長男として生まれ、小さい時から農業は身近な存在で、「農業」を常に意識していたと言われるます。サラリーマンだった園田さんが、農業を職業として選んだのは30才の時。ご自身が病気になられたことがきっかけ。この病気を通して、食生活を通して体を治すことの大切さを感じ農業をしよう、やるなら農薬も化学肥料も使わない有機農業をやりたい、とまだ6カ月のお嬢さんを連れ奥様と一緒に奈良県で研修生活を始めます。
環境は与える、そこで何を学ぶのかはその人次第
4年間の奈良での研修生活。研修先は当店にも卵や野菜を下ろして下さっている陽光ファーム21さん。
ここで作物の生育から販売まで学ばれました。
やめていく人の方が多い、つらい研修生活を支えたのは、ご自身の病気の経験。
いまは薬ではなおらない病気が増えている。食べ物が体を作る。
そのために農薬も化学肥料も使わない野菜を作りたい。
その真摯な思いと、奈良に一緒についていらした、奥さまやお嬢さんの支えとともに研修生活を終え、お嬢さんの小学校入学をきっかけに研修先から実家の佐賀に戻ります。
土が違う なんだこの固い土は
佐賀に戻って、作物を育ててみて最初に戸惑ったのは土だった。化成肥料を長年使いづつけてきた土は石のようにカチカチで、手ではとてもほぐせなかった。有機肥料を入れ、有機の資材を入れだんだん柔らかく、きめが細かくサラサラの土になってくる。
最初は発芽率が悪く、初年度から成功とはいかなかった。売り先もなく、最初の半年は慣行栽培として販売したこともありました。
園田さんは化成肥料を使った時の土の固さを指摘されます。化成肥料を使うと土がカチカチになり、根の張りが悪く病気や虫の被害にかかりやすくから、農薬が必要になる。有機栽培を続けるうちに、どんどん土も作物も丈夫になっていくそうです。
僕の野菜は病気にはかからないんです
病気や虫をどう防ぐのかとの問いにはこの答えが返ってきました。小松菜・ほうれん草などのアブラナ科の作物にはうどんこ病が発生します。この病気は有機農家の悩みの種。しかし園田さんの農園では発生したことがないとのこと。丈夫な土作りと、気候と、園田さんの熱意が病気を遠ざけているのかもしれません。
虫の被害もそんなにはなく、虫が食べていないところをとって出荷されているそうです。
自分で宣言するだけではなく、ちゃんと認めてもらう
有機JASの認証を取るのは、書類への記入がとても大変です。有機農家さんで『鍬(くわ)を持ってる時間よりペンを持っている時間の方が長い』とたとえで出てくるように、作業の記録が大変です。
このため、有機JASの認証を取らなくても、農薬を使っていないから「無農薬野菜」でいい、とおっしゃる方も多数いらっしゃいますが、
自分で無農薬で作るだけでなく、本当に農薬を使わずに作っていることを第3者に認めてほしいから。
有機J ASの認証を受ける理由を園田さんはそう言われました。
ハウスの中では野菜が元気に発育中でした。ハウスの中は周りより高くなっているため多少の雨の影響はないそうです。手前の部分が水たまりになっていますが、写真でお分かりいただけますでしょうか。
闘病中、そして研修中、佐賀に戻って有機栽培に取り込んでから、その間をずっと支えてこられたおくさま。農作業の間に、収穫した野菜の外葉や草を包丁で刻んでごはんを作る「リアルままごと」で作業が終わるのを待っているというかわいいお嬢様と一緒に有機野菜作りを行っておられます。
ご家族の愛と健康な野菜への思いが詰まった園田農園の有機野菜。葉っぱものを中心に周年出荷されます。
2012年6月24日