
「有機野菜は安全!」と聞くことが多いですが、本当はどうなのかと思うことはありませんか。
農薬を使わない分、逆に虫や病気の影響を受けやすいのでは…?と心配になることもありますよね。
この記事では、有機栽培の野菜が 「なぜ安全と言われるのか?」 について、改めてわかりやすく解説します。
このページの目次
1. 有機野菜と普通の野菜の違い
まず、有機栽培と普通の栽培(慣行栽培)の違いを簡単に整理しましょう。
項目 | 有機栽培 | 慣行栽培(普通の栽培) |
農薬の使用 | 化学農薬なし | 化学農薬を使用 |
肥料 | 有機肥料(堆肥・魚粉など) | 化学肥料を使用 |
土壌管理 | 3年以上、化学農薬・化学肥料を使わない | 特に制限なし |
生産のルール | 有機JAS規格に基づく | 法律の範囲内で自由 |
つまり、有機栽培の野菜は 「化学農薬や化学肥料を使わずに育てられた野菜」 かつ、有機JAS法に基づいて栽培された野菜です。これが 「安心・安全」 と思われる理由の一つですね。
*なお慣行栽培も、農薬や化学肥料を好きなように使用していいわけではなく、法律で使用範囲が決められています。
2. 有機栽培の野菜が「安全」と言われる理由
では、有機野菜が安全とされる理由を3つ紹介します。
1、 残留農薬のリスクが低い
慣行栽培では、病害虫を防ぐために化学農薬を使います。もちろん、日本の農薬基準は厳しく、普通に食べる分には問題ありませんが、「できるだけ農薬を使わない方が安心」 です。
有機栽培の野菜は、化学農薬を使わない ため、残留農薬のリスクがほとんどない というのが大きなメリットです。
2、 土が健康だから、野菜も健康
有機栽培では、化学肥料ではなく 「堆肥」「魚粉」「草木灰」 などの有機肥料を使います。すると、土の中の微生物が元気になり、栄養豊富な土壌が作られる のです。土が健康なら、そこで育つ野菜も元気になります。「土づくり」にこだわる農家さんが多いのも、有機栽培の特徴ですね。
3、 環境にやさしく、持続可能な農業
有機栽培は「自然の力を活かして野菜を育てる農法」です。化学農薬や化学肥料を使わないことで、環境にやさしい と言われていますが、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか?
● 土を健康に保つ
有機栽培では、堆肥や有機肥料 を使い、微生物が活発に働く土を作ります。化学肥料を使い続けると、土が固くなったり栄養バランスが崩れたりすることがありますが、有機栽培ではその心配がありません。健康な土は水や空気をしっかり含み、作物が丈夫に育つ のです。
● 水を汚さない
化学農薬や化学肥料が使われると、雨で流れて川や地下水を汚す ことがあります。しかし、有機栽培ではそれらを使わないため、きれいな水を守る ことができます。
● 生きものと共存できる
化学農薬を使うと、害虫だけでなくミツバチやテントウムシなどの益虫(えきちゅう) も減ってしまいます。有機栽培では、虫や鳥、微生物などがバランスよく共存できる ので、自然のサイクルが保たれます。
● 持続可能な農業ができる
日本で使われる化学肥料の原料(尿素、リン酸アンモニウム、塩化カリウム)は、ほぼすべて海外からの輸入に頼っています。ロシアのウクライナ侵攻や中国の輸出規制の影響で、肥料メーカーが原料を確保できず、肥料の価格は2倍以上に跳ね上がりました。こうした状況を考えると、外国産の化学肥料に依存する農業が、今後も長く続けられるとは言えません。だからこそ、「今だけでなく、未来のことも考えた農業」が大切です。私は、それこそが持続可能な農業であり有機栽培はそれを可能にすると思います。
3.とはいえ、有機野菜にも注意点がある?
「有機野菜は100%安全!」と断言したいところですが、いくつか注意点もあります。
虫がつきやすい
農薬を使わないため、どうしても虫がつきやすくなります。「虫食いのある野菜=安全の証」とも言えますが、虫が苦手な人には気になりますよね。
対策 → しっかり洗う・農家さんが手作業でチェック
賞味期限が短いことも
化学肥料を使わない分、保存がききにくい野菜もあります。また、防腐剤などを使わないため、スーパーの野菜より傷みやすいことも。
対策 → なるべく早めに食べる!保存方法を工夫する!
値段が高い理由
有機野菜は、手間ひまかけて育てるため、普通の野菜より少し高めのことが多いです。でも、それは 「安全性や環境への配慮」 のコストとも言えますね。
4. 結論:有機野菜は「安全」と言っていいと思う。
- 残留農薬のリスクが少ない
- 栄養豊富な土で育ち、健康な野菜になる
- 環境にやさしく、持続可能な農業
これらの理由から、「有機野菜は安全性が高い」 と言えると思っています。とはいえ、虫の問題や保存の難しさもあるので、「自分に合った野菜選び」 をするのが大切です、。
あなたは有機野菜、どう選びますか?ぶどうの木の野菜はすべて有機栽培。有機野菜を食べてくださいね。
この記事を書いたひと
有機野菜のぶどうの木 高橋和子
三重大学農学部で農芸化学を専攻し。農薬化学や土壌肥料学を学ぶ。のちに農薬や化学肥料を使わない農業に取り組む人たちに出会い、農薬や化学肥料を使わない有機農業に心惹かれ、それ以来、有機農業に情熱を注いでいます。
有機農業の魅力を伝える一方で、農薬や化学肥料の利点についても理解を深めながら、情報発信を通じて皆さんに役立つ情報をお届けしたいと考えています。
自己紹介はこちらです。