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益虫の導入で農薬を排除。有機栽培でイチゴを生産する「入江農園」

生産者さんを訪ねて

訪問までのいきさつ

ぶどうの木のホームページをご覧になった入江さんから、今年(2009年)の3月いただいたメールが出会いの始まりです。

どんな方が食べてくださるのかが分かって、どんなふうに感じてくださるのかが伝わってくる、そんな流通を通してうちのイチゴを食べてほしいと思っています。ぶどうの木のお客様に自分で育てたイチゴを食べてほしいのです

そんなメールでした。その時送っていただいたイチゴは、シーズンが終わって味は今一つなのですが、と入江さんはおっしゃっていましたが、香りが高く、糖度も高く、本当においしいイチゴでした。12月に入り「イチゴがおいしくなりましたよー」とご連絡をいただいたので、早速福岡にお邪魔してきました。

入江農園に到着

入江さんのほ場にお邪魔する前に 無塩醤油を作っている醸造工場を見学し、入江さんのイチゴハウスについたのが2時ごろ。早速ハウスのイチゴを見せていただきました。ご夫婦二人でイチゴを大切にいとおしんで育てていらっしゃいました。

当日収穫が終わったあとで、赤いのは収穫しちゃったから残り少なくて、とおっしゃっていましたが
美味しい甘いイチゴがハウスの中にはいっぱい実っていました。品種は「あまおう」。あかい、まるい、おおきい、うまい、この頭文字を集めた、福岡県だけで作られている今人気殺到のイチゴです。

二人でいたわりあって、いちごを慈しんで栽培しています。まっかな完熟の一粒。大切に大切に育てられてあなたのもとへ。

害虫の天敵、益虫を使うことで農薬を排除

入江さんのいちごはJAS有機栽培。正真正銘農薬も化学肥料も使っていません。「わぁ、おいしい」入江さんのハウスの中で何回も言いました。甘み、香り、鮮度、そして何よりおいしいいちごをお届けしたいという熱い気持ち、どれをとっても超一流品! 自信を持っておすすめできます。

ハウスの中にこんなにたくさんの生き物がいることを、農薬を使うのをやめたときに初めて気がついたんです。

それまでは農薬を50から100回使用する一般の栽培(慣行栽培)をしていた入江さん。農薬を使うのをやめたとき、はじめてハウスの中のたくさんの生き物の存在に気がついたそうです。いろんな生き物がいるのが自然だ、と入江さんは言います。

農協時代、アブラムシが一匹でも混入したら出荷停止と言われて徹夜でいちごの検品をしていたことがあります。あまりの大変さに農薬を撒くと、益虫が死に、新たな害虫が発生する。そのため農薬を撒くとさらに益虫が死に、害虫の発生速度がどんどん早くなる、といった負のサイクルになったことがあります。

とてもむなしく、愚かなことだと感じました。色んな虫や生物がいる多様性が確保された環境であれば、害虫だけが一人勝ちすることはありません。益虫を含む色んな虫や生物がいれば、害虫の被害もほどほどで終わってしまうのです。

研究職で培ったしつこい挑戦

農薬や化学肥料を使わず、おいしいいちごをどうやって栽培されるのですか。その技術をどんな風にして身につけられたのですか。そう質問した私に、奥様の芽吹さんがいっぱいの笑顔で答えてくださいました。

このひと、しつこいんですよ。

入江さんの前職は研究職。石油から高分子の樹脂を作る研究に従事されていました。前職で培われた挑戦を続ける姿勢が、このハウスの中ではおいしいいちごを作るために活かされています。

土壌を細かく分析し、害虫を防ぐためには何が有益なのか、今より少しでもいい方法を探して、芽吹さんが表現されるところの「しつこい」チャレンジを続けています。この挑戦が入江さんのいちごのおいしさと安全につながります。

何種類もの生き物が住む環境で育つイチゴ

さきほどからご覧いただいているように、いちごハウスの中には何種類もの虫たちが暮らしています。中にはいちごをかじる虫も。もちろん虫が食べたいちごは出荷できません。そうした害虫を防ぐために天敵となる益虫を導入しているため、その益虫の住処となる草がいっぱいです。

何種類もの虫がすみ、たくさんの種類の草が生えるいちご畑で育つ。その「あまおう」をみなさんに食べていただきたい、と入江さんは語ります。

「あかい」「まあるい」「おおきい」「うまい」数ある品種の中のおいしさを凝縮したいちご「あまおう」。他のイチゴよりも、ずば抜けたコクと甘味があり、酸味とのバランスも絶妙。果肉も大きくしっかりとした歯ごたえがあります。そして後味はすっきり。大満足のいちごです。

おいしさと安心をかね添えた入江さんの「あまおう」ぜひどうぞ。ネットで取り扱っているのは当店ぶどうの木だけです。

余談

余談ですが、私高橋の前職も研究職。入江さんと同じく石油を原材料とする高分子の研究開発に従事していました。専門はABS樹脂。そして偶然ですが、入江さんはライバル会社で同じ樹脂の研究をされていました。

入江さんと私は同い年。研究所勤務時代どこかの学会でご一緒していた可能性もあります。何年か後に、福岡と名古屋で同じ有機農業にまたかかわるようになったのも不思議な縁です。